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第二部でお話ししてきたことを、一度だけ振り返らせてください。
まず自分の余裕に気づくこと。余裕がある時だけでいいので、発する言葉を少しだけ肯定的にしてみること。頼まれごとが来たら「喜ばせるチャンスがきた」と受け取ってみること。疎遠になっている人に会いに行くこと。お金の決断は、余裕の範囲で思い切ること。どれも、特別な才能の要らない話だったと思います。
最後に、これら全部の根っこにあるものの話をさせてください。
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有精卵の話
こうちゃんの師匠に、竹田和平さんという方がいます。「日本一の個人投資家」と呼ばれた方です。私はこうちゃんの著書「日本一の大投資家から教わった人生でもっとも大切なこと」を通じて、和平さんの言葉をいくつも教えていただきました。
中でも忘れられないのが、有精卵の話です。
和平さんが、お父様から製菓工場をまかされた頃のこと。他の会社は、安い「無精卵」を使ってお菓子を作っていました。その中で和平さんは、高価な「有精卵」を使い続けたそうです。当然、儲けは減ります。なぜそうしたのか。和平さんの言葉が、本に残っています。
「わしはなぁ、天が見とると教わったよね。別に天を信じなくてもええんだわ。自分は見とるよね。自分で自分を欺くことはできんよね。嫌なものを混ぜて売ったらどう? 自分が気持ち悪いがね。わしはなぁ~、お天道様の下を愉快に笑いながら堂々と歩きたかっただけがね。わははは~」
初めて読んだ時、体の中がすっと静かになるような感覚がありました。
誰も見ていなくても、自分は見ている。自分で自分を欺くことはできない。だから、仕事にもお客様にも誠実であり続けよう。私はこの言葉を、そう受け取りました。
思えば、第一部に書いた出来事も同じでした。展示会の前の日に朝5時まで粘ったのも、一作入魂でコーヒーロボを作ったのも、誰かに見せるためではなくて、自分に恥ずかしくない仕事がしたかっただけかもしれません。それを見ていてくれた人が、次の仕事を運んできてくれました。第一部も第二部も、突き詰めると全部、「お天道様の下を堂々と歩ける自分でいられるかどうか」の話だったのかなと思っています。
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「終わりはありませんよ」
第一部の知覧の話で、トメさんのお孫さんからいただいた言葉をご紹介しました。道徳の「道」は自分の進む道、つまり仕事のこと。「徳」は良き行いをすること。自分の仕事で良き行いを心がけて、目標を決めて精進して、達成したらまた次の目標を決める。
あの言葉は、こう結ばれていました。
「終わりはありませんよ」
この第二部を書いている私も、まだ道の途中です。値下げされにくくなる方法は研究中ですし、「便利なやつ」と「都合よく扱われる人」の境界線も、生活を通して深掘りしている最中です。徳の学校にも、いままさに通っています。偉そうに書いてきましたが、実態は、皆さんより少しだけ先に転んで、少しだけ先に気づいただけの人間です。
ただ、途中の人間だから書けることもあると思っています。完成した人の話は遠すぎて真似しにくいですが、途中の人間の話なら、明日の一歩の参考くらいにはなるかもしれません。
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いつか、答え合わせの日が来る
第一部で、詐欺で全財産を失った時に、たくさんの方が手を差し伸べてくださった話をしました。「それはあなたに人徳があるからですね」と言っていただいた、あの話です。
在り方は、すぐには何も返してくれません。言葉を変えても明日の売上は上がらないし、会いに行っても、その場では何も起きません。頼まれごとに応えて、疲れるだけの日もあります。それでも、積んだものは消えていないんです。
いつか、多くの場合は一番苦しい日に、それまでの自分の振る舞いの答え合わせがやってくるのかもしれません。その日に堂々としていられるように、今日の小さなところから整えていくしかないんだろうなと思っています。
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今度は、あなたが分ける番です
序章で、こうちゃんの「お菓子の話」をしました。お菓子をもらった時に、自分で食べる子、要らないという子、弟や妹に分けると言う子がいたら、最後の子にまたあげたくなる、という話です。
私はこの第二部で、アニキや先輩方、こうちゃんからいただいたお菓子を、あなたに分けてきたつもりです。
だから最後にひとつだけお願いです。もしこの中に、ひとつでも「使えそうだ」と思えるものがあったら、いつかあなたの後輩や、あなたのそばで悩んでいる誰かに分けてあげてください。あなたの言葉で、あなたの失敗談と一緒に。その姿を見た誰かが、またあなたに何かを持ってきてくれると思うんです。世の中は、どうもそういうふうにできているようです。
あなたの明日が、お天道様の下を愉快に笑いながら、堂々と歩ける一日になりますように。