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お金を掛けずに、今日からできること
前の章で、「まず自分の余裕に気づきましょう」というお話をしました。では、余裕に気づいた後、最初に何から始めるか。私のおすすめは、発する言葉を少しだけ変えてみることです。
きっかけは、アニキのご友人である伊木ヒロシさんのYouTubeでした。動画を拝見して、「これは今からでも、お金を掛けずに実践できるぞ」と思ったんです。当時の私はゴミ拾いをしていた、あの仕事のない時期です。お金の掛かることは何もできません。でも、口から出す言葉を選ぶことなら、無料でできました。
自分に課したルールはシンプルで、否定語を使わずに、肯定的な言い回しをする。それだけです。
たとえば以前の私なら、「このお仕事はできないです」と言っていました。それを、否定語を使わずに言おうとすると、どうなるか。「どうやったらできるようになるだろうか」と、考え始めるんです。
これは自分でも予想していませんでした。言葉を変えると、思考が変わるんです。口に出す言葉を先に決めてしまうと、頭の中がその言葉に合わせて動き出します。「できない」と言えない自分は、できる方法を探すしかなくなるんですよね。
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まず、「悪くしない人」になる
考えてみてほしいのですが、いつも否定的な言葉や愚痴、泣き言、不平不満を言っている人のそばには、居たくないですよね。
かといって、いきなり「周りを明るくする人になろう」と頑張る必要はないと思うんです。順番があって、まずは周りの人の状態を悪くしない人になる。周りをよりよくする人になるのは、その次でいい。
私自身、この順番で少しずつ変わっていった気がします。愚痴を言わない。泣き言を言わない。それだけでも、周りの空気を濁さない人にはなれると思うんです。
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世界の見え方が変わった
言葉を変えて、まず変わったのは自分自身でした。
自分に笑顔が増えたと感じたんです。世界が変わったような感覚でした。それまでの私は物事を否定的に見ていたのに、同じものを見ても「いいところ」を探すようになりました。
これは人と接する時にも効きます。相手のいいところを探して言葉にして伝えると、とても喜ばれるんです。第一部でお話しした、スタバで「視野広いですね」と声をかけた話も、振り返れば、この延長にあったのかもしれません。
それから、思いがけないことも起きました。
行きつけのカレー屋のご夫妻——詐欺被害の時に差し入れとお手紙を届けてくださった、あのご夫妻です——から、ある日「今度、起業して成功された方を紹介するよ」と声を掛けていただいて、会社をM&Aで譲渡された経営者の方とつながることができました。
営業をしたわけではないんです。いつも通りカレーをいただいて、いつも通りの言葉で接していただけです。それでも、肯定的な言葉を発する人のところには、人が何かを持ってきてくれるみたいなんです。言葉を変えるとかわいがられやすくなって、かわいがられると運がよくなっていく。千葉修司さんの著書「言葉相」や「人は運が10割」にも通じる話だと思っています。
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笑顔は、誰でもできる「徳」
言葉と並んで、もうひとつ無料でできることがあります。笑顔です。
ゴミ拾いをしていた頃、私は朝すれ違う方々に挨拶をしていました。でも、返してもらえないことも多かったんです。
以前の私なら「せっかく挨拶したのに」と不満に思っていたはずです。でもこの時は、「挨拶を返したいと思ってもらえるように、笑顔で挨拶をしよう」と考えることにしました。すると、挨拶が返ってくる確率が実際に上がっていったんです。
笑顔でいることは、誰でもできる「徳」だと思っています。技術もお金も資格も要らないのに、目の前の人の状態を少しだけ良くしてくれます。
ただし、前の章とつながる話をひとつだけ。笑顔の源泉は余裕です。余裕がないのに笑顔を作ろうとすると、それは無理になってしまいます。仕事がなかったあの時期の私がゴミ拾いと朝の挨拶を笑顔でできていたのは、思えば、心に余白があったからでした。もしいま笑顔が出ないなと感じたら、責めるより先に、「余裕がないのかもしれないな」と気づいてあげてください。
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今日、ひとつだけ言い換えてみる
この章の実践は、本当に小さくて大丈夫です。今日、否定語をひとつだけ言い換えてみてください。「できません」を「どうやったらできますかね」に。「時間がありません」を「時間を作れないか考えてみます」に。「疲れた」を「今日はよく動きました」に。
これだけで何かが劇的に変わるとは言いません。ただ、言葉は毎日何百回も発するものなので、積み重なるとけっこう大きいんです。積み重なった先で、あなたに声を掛けてくれる人が現れるかもしれません。
次の章では、そうして声を掛けてもらった時——「頼まれごと」が来た時の話をします。私がバリ島で、見事にチャンスを逃した話からです。
次の章へ → 第3章 — 頼まれごとは、試されごと